私はベトナム株の中でも電力株に注目しています。それは
- 高配当
- 事業が安定している
- 高成長が見込める
という「高配当かつ高成長」という非常に好ましい銘柄が複数存在するからです。
今回はベトナムの電力株への投資をするにあたり、どう考えるべきかという、一般的な考察を加えたいと思います。
ベトナムは経済成長が続いており、電力需要も右肩上がりです。商売というのは「需要が伸びるサービスを提供するとお金が儲かる」というのが鉄則です。ベトナムの電力会社というのは儲かりやすいのではないかと考えています。
2020年2月現在でSBIで購入できる電力会社の株は私が確認する限り下記の11社あります。
バリア火力発電 |
ナムー水力発電 |
カインホア電力 |
ニンビン火力発電 |
ファーライ火力発電 |
クォッククオン ザライ |
中部電気開発投資 |
カンドン水力発電 |
タックバー水力発電 |
タックモー水力発電 |
ヴィンソン・ソンヒン水力発電 |
経産省のレポート(作成元はデロイト)そしてジェトロのレポートに様々な情報が書いてありますので紹介します。これだけ読めばベトナムの電力マーケットがどんな感じなのかを相当勉強することが出来ると思います。ベトナムの電力会社がどういうビジネスモデルになっているのか良くわからないのですが、なんと経済産業省とかジェトロ(日本貿易振興機構)がたくさんレポートを作ってくれています。日本企業がベトナムに進出するにあたり政府としてお手伝いするために、日本語でベトナム電力市場についてレポートしてくれています。なのでこの情報を使わない手はないでしょう。
まず市場構造ですが、発電事業者が、国営電力会社に電気を売り、国営電力会社が民間・産業用の最終消費者に電力を売る、となっています。
(経産省レポートより)
我々は投資できるベトナム電力株のビジネスモデルは、「発電事業者から国営電力会社への電力販売」により収入を得るというものです。非常に単純です。上記の図でいう「発電」の会社にあたります。ここに投資をするということです。
では、国営電力会社向けに売る電力価格はどうなるのでしょうか?
経産省のレポートによると、2015年―16年と少し前の数値ではありますが、発電会社から国営電力会社への販売電力価格は水力発電が3.74USセント/kwh、火力発電が5.72USセント/kwh ということのようです。日本の東京電力の電気料金が20円(18USセント/kwh)くらいですので、非常に安く設定されています。東電の電気料金もメニューや使用電力量で単価が変わるのであくまで参考ですが・・・。
以上の通り、発電会社→国営電力会社への電力価格は4~6USセント/kwh です。ジェトロのレポートによると、国営電力会社から最終消費者の電力価格は2019年時点で8.1USセント/kwhということでやはりこれでも日本よりだいぶ安い電力価格になっています。最終消費者向けの電力価格は年々上がっているようです。電力需要が上がる中、新規の発電所を次々建てたり、送電線を整備したりで投資が必要となります。投資資金を捻出するためにも、電気料金を上げる必要があります。国営電力会社が赤字にならないように、徐々に電気料金は上がっているようです。
電力需要は今後年率6.6%で成長していくようです。ジェトロのレポートによると、ベトナム北部と中部は電気が足りるようですが、南部は電力不足になっていく可能性があるようです。発電所を立てて、増えていく需要にこたえる必要がある、というのが現在のベトナムの電力市場です。
以上を考えると、
- 電力需要が増える
- 需要を満たす発電所を建設する投資を呼び込むために電気代が上がる
- 発電会社から国営電力会社への電力販売単価が上がる
- 発電会社の売上・利益が伸びる
そして発電会社に投資する投資家が儲かる・・・こういうシナリオになるのでは、と考えています。
もちろんリスクとしては、上記の3、つまり発電会社から国営電力会社への販売単価が低いままに留め置かれ、発電会社はずっと安い価格で電力を売らないといけない・・・という羽目に陥るということが考えられます。そのリスクは小さくありませんが、逆に考えると「最悪でも現時点で利益が出ている発電会社は、今後利益成長はしないものの、配当金は現状と同じレベルでもらえる」と考えていいのかなと思います。
電力市場も自由化が計画されており、もし自由化される場合は電力需要に応じて販売単価が上下することになります。そうなると、発電コストが安い発電会社に有利な市場になります。現状の安い単価ではなく、市場価格で電気を売ることができるからです。今のうちに発電コストが安い会社の株を買っておけば、将来販売単価が上がると利益もそれだけ増大することになります。そして株価の上昇、配当金増額を期待できます。
以上のように、ベトナムの電力株というのは投資対象としては魅力的なのではないかと思っています。