ベトナム政治経済

ベトナムの経済発展のカギは法整備か?

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さていままで意識低い感じの記事ばっかりでしたので、今回はマジメな考察をしてみたいと思います。

私は少額ではありますが、ベトナム株式市場に投資しているので、「今後ベトナムは順調に経済成長するのか」という点が気になります。今回はグローバルバリューチェーンという観点から考えてみたいと思います。

最近アマゾンで下記の本を買って読みました。中々面白く今後のベトナム経済発展を考えるうえで示唆に富んだ良書だったと思います。

これまでの貿易理論は、完成品のみで考えがちでした。つまり自動車は日本、衣服はベトナム、それらを貿易することで交換する・・・のような考えです。ところが、通信や流通が発達した現在では、製品を構成する各要素ごとに分かれて、最適な国で生産されることが多くなっています。例えばアイフォンだとマーケティング・デザインはアメリカ、組立は中国、基幹部品は日本・・・のようにアイフォンを構成する要素は国境をまたいでいます。

今の貿易の特徴としては、中国以外の東アジア各国で高付加価値の部品をつくり、それを中国に集めて(低付加価値な)労働力で組み立てて、中国から世界中に輸出する、というもののようです。で最近は米中対立で中国で組み立て工場を持っててもリスクだよね~ということで中国からベトナムなどに生産工場を移管するという流れがきています。なのでベトナムとしては中国から製造業が大挙して押し寄せるので経済発展の大チャンスとなります。ベトナムは歴史的に中国と対立してますし、敵の敵は味方ということで最近はアメリカとも仲が良いという点もベトナムの利点があります。さらに中国よりも人件費が安いので製造業としては魅力的となります。

さてグローバルバリューチェーンに戻りますが、製品を構成する要素のうちどこが一番儲かるかというと、「複雑でクリエイティブなところ」ということになります。例えば基幹部品であるとか、アップルのような巧みなマーケティング能力、これらに高い価値が見出されるので、基幹部品を作る会社・マーケティングをする会社(アップル本社)には莫大な金が流れ込みます。一方で、ただ単に部品を組み立てるだけ、といった単純作業はたいして価値を生みません。なので組み立て工場には莫大な金が流れ込むということはありません。

新興国がいつまでたっても経済発展しない、いわゆる「中進国の罠」に陥るのは、低賃金を武器に外資企業を受け入れるものの、いつまでも「組み立て作業」のような低付加価値の仕事しかできない、というのも要因の一つのようです。日本はもちろん、韓国台湾シンガポールそしておそらく中国も高付加価値の製品・サービスを自国内でつくることに成功したので中進国の罠に陥ることはありませんでした。

では高付加価値製品を作れる国になるにはどうすればいいか?というと、条件の1つには「法律をキッチリ作りこんで、事業の不確実性をなるべく下げる」というものがあります。複雑な部品を作るには複雑な契約でビジネスパートナー同士で詳細な条件を詰めなければなりません。しかし法律の解釈や適用が曖昧だと、せっかく契約を作りこんでも「今回はこういう解釈なので無効です」「今回はOKです」と裁判所で判断されたらビジネスとしてはやってられません。争う余地のない単純なビジネスしかできません。高付加価値製品を作るビジネスを行うソフト面のインフラとして、「法制度がしっかりしている」というのは非常に重要なことといえます。

では振り返ってベトナムはどうかというと、どうも法律制度がしっかりしておらず、役人も人によって言う事が違うので日本からの駐在員は苦労しているようです。私はベトナムでビジネスをしたことがないので分かりませんが、この本にそのようなことが書いてありました。法制度に不備があるなら、ベトナムで高付加価値製品をつくることを企業は躊躇するでしょう。組立といった低賃金労働者を活用した単純で低付加価値の事業のみをベトナムに移管することになるでしょう。

ベトナムは今後低付加価値の「組み立て工場」だけを受け入れても十分発展する余地はあるでしょう。1人当たりGDPがまだ2600ドル程度ですし十分に発展するものと思います。特に工場が増えると電力需要が増えるので、低コストで発電できるベトナム水力発電株など(例えばタックモー水力発電タックバー水力発電)は今後も確実に配当金を払ってくれそうですし、増配もあり得るかと思います。しかしさらにベトナムと言う国自体が発展してこそベトナム株が光り輝くと思いますが、現在のような法律の適用・運用が不安定な状態が続くと、結局中進国の罠に陥り、日本韓国台湾のような爆発的な成長とはならず、せいぜいタイくらいまでの経済規模に収まるのではないか・・・と思います。それでも人口が1億人もいますし、いまから投資しても十分にリターンはあると思います。しかし投資家としては、やはりベトナムの更なる経済発展のためにもまず法律の適切な運用を行ってほしいところです。

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